2015年8月6日木曜日

1ダース分のひとり言 第四話 「公設公営ってなんだ?」

■公設公営ってなんだ?

小金井市の学童事業を概観すると、学童は市が施設を所有し、市の職員が働く、という「公設公営」でこれまで運営されてきた。実は50年前の学童開設当初は、社会福祉協議会に運営を委託していて「公設民営」であったらしい。職員の安定雇用、就労環境等の改善などの理由でにわかに運動が巻き起こり、市が直接運営する「公設公営」方式に変わったという経緯があるらしい。

小金井市の学童事業は歴史も古く、ついに昨年50年の節目を迎えた。近年の利用者アンケートによると、利用者の満足度はかなり高く、他の自治体に比べてずいぶん恵まれた環境であるといえる。他方、「公設公営」で学童を運営している行政にとっては、市の正規職員を指導員に充てているわけで、人件費にずいぶんお金がかかる。

学童運営に必要な費用は、大きく分けると人件費、施設整備費、備品購入費等々となるが、大半は人件費である。ここをなんとかしたい、というのが第1次行革から一貫して市が掲げてきた目標である。過去の憶測に近い試算によると、民営化によって学童運営事業費は半減される、ということだったらしい。実はそんなにうまくいかないことが、民営化初年度である現在、すでに明らかになっているのだけれど・・・

ともかく、第1次行革で、正規職員の数を減らし、多少なりとも市の財政改善に貢献した。そして、第2次行革でいよいよ初年度2学童の民営化、以後毎年1学童ずつ民営化、に踏み切ろうとしたが、市側が準備不足のままいきなり断行しようとしたため、利用者の猛反発を食らい頓挫した。

そして、現在進行中の第3次行革で仕切りなおし、ようやく今年度から4学童の民営化に踏み切った。さらに2年後には2学童を民営化する予定である、というのが現状である。最終的には、市内全9学童をすべて民営化したいはずだ。

と、こうやって見てみると「公設民営」イコール運営事業費の抑制という視点のみで市は民営化を推し進めようとしているようにみえる。それってはるか以前に社会福祉協議会に運営を委託していて、職員の安定雇用、就労環境の改善などの理由で「公設公営」方式に変わったことのまったく逆のことをやろうとしているのではないか?職員の安定雇用や就労環境の整備は各民間事業者にまかせ、トータルの運営事業費だけを抑制する、というやり方で大丈夫なのかっ、小金井市!

平成26年度、国全体で「公設公営」が38.7%、「公設民営」が44.2%、「民設民営」17.1%で「公設公営」がもはや小数派で、しかもジリジリと減りつつある現状からすれば、すでに流れはできているものと思われるが、問題はその内容とやり方だ。(※国では公立公営、公立民営、民立民営、そして学童は放課後児童クラブの表記:参考資料p5下段表)

さて、ぼくたちは「公設公営」に賛成なのか反対なのか?そして、その賛成の理由、反対の理由をキチンと第三者に説明できるだろうか?


参考
厚生労働省 平成26 年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11906000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Ikuseikankyouka/0000064488.pdf


前野武彦