2015年8月16日日曜日

1ダース分のひとり言 第十一話「大規模化ってなんだ?」

■大規模化ってなんだ?

小金井市の学童児童数は年々増加の一途を辿っている。平成27年4月時点での児童数は9学童の合計で847人となった。過去を振り返ると、児童数は平成19年で666名、そこからしばらく横ばいあるいは微増の状況が続いていたが、二年前は726人、一年前は791人と、ここ二年間で121名増と急激に増えた。

運営基準には9学童合計の定員数は790名と定められている。昨年度791名と、とうとう定員をオーバーしてしまった。もっとも運営基準に示されている通り、市長が必要と認めたときは基準定員のおおむね10%の範囲内で、基準定員を超えて入所を認めている。とすれば、870人ぐらいが定員と読めるし、入所要件を満たす児童は全て受け入れるという全入の方針もあることから、とりあえずは待機児童が出ることはない、と信じたい。

ただし学童別にみると、今年度、定員に達していない学童がある一方で、5箇所の学童においては定員の10%の範囲を軽く超えてしまっている。一番深刻な学童では定員の33%増となった。要するに一部の学童ではギュウギュウ詰めの状態で保育が行われている。

小学校の児童数や出生率などはほぼ横ばいの状態であるから、単純に学童を必要とする世帯が増えていると読める。この二年間の急激な増加は、国の旗振りによる一家族二馬力制が一気に加速しているのではないか。だとすると、しばらくこの増加傾向に歯止めはかからないのではないか。もし来年度も50人~60人増えたとすると、ぼくたちの学童はいったどうなるのだ。もしかすると、あと二年で1,000人の大台に乗る可能性だって否定できない。

この大規模化に対する行政側の対応策はいたってシンプルで、施設を増やすか入所要件のハードルを上げて入口を絞るか、もしくはその併用である。だがしかし、答はシンプルであっても、その方策はとてつもなく難しいことは、自明の理である。資金、人、施設・・・すべてが難問である。そして、どれもこれもうまくいかないことが明らかになってしまった暁には、全入の取止めや児童館、放課後子ども教室との一体運用も俎上に乗るだろう。というかこの機に乗じて国の方針とかなんとか言いながら一気に舵を切るつもりでは、などと勘繰ってしまう。

小学校、中学校の空き教室を利用する、利用率の低い市の施設を使用する、市内福祉関連施設に学童を併設する、空き地にプレファブを建てる、民間事業者を誘致する、篤志家を大募集する、NPOを検討してみる、育成料を値上げる、国、都の関連事業の補助を引っ張り込む・・・さてさて、だれもが膝を打って納得するような解決策はないものだろうか?

今年度、学保連では研究部を中心にこの大規模化について検討し、不確定な要素をできる限り排除したうえで資料を整理し、運営協議会を通じて行政と協議していきたいと考えている。

さて、ぼくたちは大規模化が今後いよいよ進行するとした前提で、どのような学童のあり方を未来に示せばいいのだろうか?


参考
学童保育所運営基準(改定版)本文
http://www.city.koganei.lg.jp/kakuka/kodomokateibu/jidouseisyounenka/siryou/D5503020_20120113.files/26.10.7honbun.pdf


前野武彦